草柳商店でばったり……
真鶴の「草柳商店」さんで夜な夜な繰り広げられている角打ちには、なんと時々バイオリニストの方がふらりと現れます。古澤巌さん……初めてお会いした時には、クラシック音楽に全く詳しくないので、「あぁ、バイオリンで有名な人がいるんだ〜」くらいだった私。

それからしばらく経ってから、葉加瀬太郎さんの師匠にあたる「日本三大バイオリニスト」のお一人であることを母から聞いてびっくり。普段お店でお会いする時はちょっとお酒が入っているせいか、お茶目で親しみやすいおじさまだと思っていたのですが、世界を舞台に活躍する本物のスーパースターなお方でした。
早速YouTubeで検索し、実際に演奏している姿を拝見したら、鳥肌が立つほどめちゃくちゃ格好いい! 古澤巌さんの動画はたくさん見つかるのですが、その中から一つだけ。高嶋ちさ子さんを加えて「日本三大バイオリニスト」が奏でるディニーク作曲「ひばり」を引用しておきます。
真鶴愛に溢れる古澤巌さん
そんな古澤さんの真鶴愛は超ディープ。葉加瀬太郎さんのレーベルから発売されているCDのジャケットは全て真鶴で撮影されているそうです。しかも写真を撮影してくださっている方も、なんと! 真鶴の方なんだとか。
そして、コルシカ島の方と結成している「コルシカ音楽祭」の日本ツアーでも毎年メンバーが来日したら、まずは真鶴に泊まって頂くことにしているそうです。真鶴の景色や空気をメンバー全員が共有することで、より洗練した素晴らしい演奏になるのかもしれませんね。
そして私がこの春、ちょうどアメリカのボストンへ短期留学している間に、今回の演奏会が決定したようです。母が角打ちに行った際、草柳商店の顔である草柳文江さん(通称「あーちゃん」)から、「古澤巌さんが今度、貴船神社でコンサートをする」という情報を聞きつけ、貴重なチケットを3枚買っておいてくれました。

贅沢すぎる体験
初めて入る貴船神社の本堂。定員はわずか50人という贅沢すぎる空間に、始まる前から胸のワクワクが止まりません。普段は入ることのできない本堂に足を踏み入れると、貴船神社の荘厳な空気に包まれました。

クラシック音楽が始まる覚悟で、気分を落ち着かせながら待っていると、意表をついて、なんとスタートは力強い大太鼓の音とお経の読み上げから! 二礼二拍手一礼の神事から始まるという、神社とシチュエーションならではの演出に一気に引き込まれます。
そこから始まる演奏は、知識ゼロの私でも大興奮の神セットリスト(演目)で、特に生で聴くプロが奏でるバイオリンの音色は異次元の心地よさ。自由自在に、どこまでも軽やかでどこまでも伸びていき、その透き通った美しさにうっとりとしてしまいました。
そして東京FMの長寿番組『ジェットストリーム』のオープニング曲となっている「ミスター・ロンリー」が流れた瞬間は、ぞわ〜っと鳥肌が立ってしまいました。福山雅治さんがナレーションを務めるようになってからの今のオープニングは、実際に古澤巌さん演奏のバージョンになっているそうです。
大藤桂子さんとの共演
この日の演奏会は、古澤巌さんによるバイオリンのソロ演奏だけでなく、チェロ演奏家である大藤桂子さんとの共演もありました。高嶋ちさ子さんとストリングのデュオ「CHOCOLATE FASHION」を結成された方で、西郷隆盛、女優の後藤久美子さんのご親戚。バイオリンの軽やかさとチェロの力強さのコントラストがとっても印象的でした。
大藤桂子さんが作曲された「銀の月」や、トンビが風に乗る姿から生まれた「風の通り道」など、真鶴を彷彿とさせる演奏はとても心地よかったです。スピーカーを通さない本物の生音が、神社の御社を伝って響いてくる感覚は、ご利益を全身で浴びたような神々しい気持ちになりました。
真鶴ならではのMC
演奏の合間に炸裂する古澤さんのMCは、「草柳商店」さんの角打ち同様に面白くて、会場は何度も笑いに包まれていました! さだまさしさんの息子さんとのカルテットの結成秘話や、真鶴在住のドイツ人写真家さんとの撮影の裏話など内容も盛りだくさん。
ちょうど父からさだまさしさんの曲を聴かされていたタイミングだったので、身近に感じていたところ、私も通っている真鶴のジム「3 SPORTS GYM」さんに最近通い出されたとのことで、親近感がさらに上昇。真鶴ローカルなエピソードが次々と飛び出しました。
神様へ音楽を捧げるお祭りは、最後は宮司さんのご挨拶と共に温かい拍手で幕を閉じました。「この2人の共演をこの距離で聴けるのは本当に貴重なこと」だと宮司さんから教えていただき、真鶴に引っ越してきたからこそできた体験で、より一層真鶴愛が深まりました。
