『cüeの場所』で始まりました
真鶴駅からまっすぐ伸びる「おおみち通り」。Y字路の交差点を左に行ってすぐの所にある『cüeの場所』。ここで先日の7月19日から、真鶴の風景を描き続けていらっしゃる山田将志さんによる個展『暮らした家と家族たち』が始まりました。
『cüeの場所』は、真鶴出版で勤めるジュンコさんが「その時々に好きと感じたもの」を集めてお披露目する……不定期営業の素敵な空間。展示があったり、本や美術品、お洋服やレコードが並んでいたり。行くたびに表情がガラリと変わるお店です。

会期は8月31日まで、日曜と月曜の13時〜17時オープン。私はさっそく、初日の19日にお邪魔してきました。結構広い空間なのに、次から次へと人が訪れて、店内はずーっと賑わいっぱなし。山田さんご本人も在廊されていて、そのお人柄から、和やかな真鶴時間が流れていました。

山田将志さん

山田さんは2017年に真鶴に移住されてきた絵描きさん。真鶴の人々や風景、食材やお料理、お仕事や生活の営みを、とても細かいタッチでリアルに描き出されます。写真とはまた違う質感、あたたかさ、生活の匂いまで伝わってくるような作品です。
これまでも「坂の上から海の側─真鶴─」(@東京PARK GALLERY)や「あおい場所」(@コミュニティ真鶴)など、真鶴を題材にした個展をあちこちで開催されてこられました。いま現在は絵本『小さな港の漁師さん(仮)』も制作中だそうです。

今回のテーマは、山田さんご家族が2017年11月から2025年7月まで暮らした、港のそばの一軒家。築50〜60年の「おばあちゃんち」みたいな4DK。便利とは言えない古びたお家だけれど、お掃除をして所々直しながら暮らすうちに、愛着が湧いていった日々を描写されています。

会場には、ペットや台所の風景だけでなく、ご家族が集めてきた「置物たち」を描いた一枚も。玄関や台所からトイレにまで……家じゅうに飾られていたという狸(たぬき)コレクションで、リサイクルショップや旅先のお土産屋さんで出会うと、ついつい買ってしまったんだそうです。

あの「緑の階段」の家
じつは私、山田さんとはずーっとニアミスですれ違い続けている間柄でした。「ペペコーヒー」さんなどでお互い顔は知っていたはずなのに、なかなかゆっくりお話しする機会がないまま、今日まできてしまいました。

ペペコーヒーで「引っ越したんですよー」という話を小耳に挟んだのがきっかけで、緑色の手すりの階段が可愛いお家が山田さんの家だったことを知りました。私が真鶴に引っ越した当初から「この階段、いいなあ」と通るたびに思っていたのですが……なんと、そこがまさに山田さんが暮らしていた、今回の主役のお家だったんです。

そしてもうひとつ、どうしても書きたいエピソードが。約10年ほど前、PARK GALLERYの加藤さんと一緒に、真鶴にあった中華料理屋「平珍」さんで絵の展示会をしたときのこと。まだ山田さんも真鶴に移住する前のお話です。
東京から展示に来てくれたメンバーみんなで「平珍」さんに泊まっていたら、山田さんだけそっと抜け出してしまったそうで、翌日みんなで温泉に行く途中、彷徨う山田さんを発見。なんと、小学校下にある素敵なバス停の向かい側で、野宿をしていたらしいのです。

「港町カレンダー」発売開始!!
そして山田さんといえば、真鶴では「港町カレンダー」でもおなじみ。毎年、山田さんの描く真鶴の風景がカレンダーになっているんです。つい先週からは、貴船まつりを描いた新作カレンダーの販売がスタート。真鶴出版さんでは、そのカレンダーの原画も飾られています。

個展も、カレンダーも、原画も……この夏は町のあちこちで山田将志さんの絵に出会えると思います。暮らした家への愛おしさが詰まった個展『暮らした家と家族たち』、ぜひ会期中に『cüeの場所』へ足を運んでみてください。
